~情報端末への物理攻撃に対峙するセキュリティインターフェイス~
ニュースで、「情報漏えい」とか「サイバー攻撃」といった言葉をよく見かけるようになったのではないでしょうか?これは、我々が日常的にやり取りしている情報を、盗んだり改ざんしたいと思う悪意あるヒトが増えていることを意味しており、残念なことに情報の社会的・経済的価値の高まりが負の側面で見えています。Society5.0では、今までよりも情報の価値が高まります。なぜなら、取り扱う情報が個人のプライバシーや財産に深く関わるもの、自動運転等の社会のインフラを制御する情報は人命にも関わるものになるからです。そこで重要になるのが、情報セキュリティです。ウイルス対策ソフトやファイヤーウォールが思い浮かぶのではと思います。これらのソフトウェアのセキュリティも重要ですが、最終的に全てのソフトを実行するのは集積回路で、このハードウェアに対する物理的な攻撃が問題です。この物理攻撃とは、例えば暗号処理する回路から漏れる電磁波や消費電力を観測し秘密鍵を盗んだり、回路に高出力のレーザーや電磁波を照射して情報を改ざんする攻撃です。これらは、電子戦と呼ばれる現在の戦場で使われている技術です。 残念ながら技術の発展により、民間人でも攻撃に使える装置が安価に手に入るようになり、一般社会にも物理攻撃の脅威が及んでいるという現状です。
Society5.0を実現するには、物理攻撃にも対処できる高度な物理セキュリティ技術が不可欠です。そこで、三浦研究室では、物理攻撃に対峙できるセキュリティインターフェイスを研究します。スマートセンサ技術を応用し、物理攻撃そのものを回路側で検知する物理攻撃センサを世界に先駆けて開発しました。また、検知後に鍵を更新し、「やなぎ」のように攻撃をやり過ごすレジリエント暗号システムを研究しており、東北大学、電気通信大学、東芝、フランスのTelecom ParisTech、ベルギーのKU Leuven等の世界中のセキュリティ技術者らと共同で研究を推進しています。それ以外にも、インフラ施設の常時監視を目的としたネットワークカメラシステムにおいて、情報の信頼性を担保するために、機械学習を利用した物理的なカメラデバイス同定技術なども研究しています。