知的センサ

~物理世界を情報世界に高精度にコピーするインターフェイス~

皆さんがインターフェイスと聞いて最初に思い浮かぶのは、スマホのSiriやタッチパネル等ではないでしょうか? これらはヒューマンインターフェイスというヒトとコンピュータの間をつなぐインターフェイスですが、実体としては、人間の行動によって変化する物理量を計測するセンサで構成されています。例えば、Siriは人間の発話によって変化する空気の振動を、タッチパネルは人間の手指の接近に伴う電界の変動を計測しています。言い換えると、これらのセンサは物理世界の様態を情報世界にコピーする機能です。センサは、物理世界の様態をデジタルの数値データに変換して、情報世界で取り扱えるカタチに変換しています。Society5.0では、社会問題を解決する答えを導くために、物理世界の完全なデジタルコピーを情報世界に形成しようとしています。IoTやCPSといった言葉を耳にすると思いますが、これらも同じようなことを考えていて、この概念をデジタルツインと言います。

つまりセンサは、情報世界が取り扱う入力を形作る重要な役割を担っており、出力となる社会問題の解決策にも大きく影響します。 そこで、三浦研究室では、高精度のデジタルツインを形成するスマートセンサを研究します。集積回路技術のめざましい発展により日々、小型で高精度のセンサが開発されていますが、単純な計測精度の向上だけではなく、そのセンサの「賢い」制御方法や計測結果の処理方法の正しい組み合わせについて、ハードとソフトの両領域で統合的に研究に取り組みます。上の図は、小型の生体センサやカメラと機械学習を利用した感情を理解するコンピュータの例です。感情推定への貢献度の高いセンサを適切に選ぶことで、計測時の身体への負担を低減し、感情推定精度そのものも改善できます。